私たちは桐箪笥を造る前にまず桐の丸太選びから始めます。
40年以上の経験を活かし、東北地方へ桐を買い付けに行きますが、地域にこだわらず数ある丸太の中から納得がいく良い物だけを選びだします。
特に桐箪笥の前面に使う柾目材を桐丸太の木口だけで善し悪しを見極め選ぶことは非常に難しいこと。厳しい冬を耐え抜き素直な桐は木目が浮き立って見え、すばらしい桐箪笥になります。
こうして私たちは無理な仕入れをせず、三長家具の桐箪笥にふさわしい桐材のみを探し求めています。
製材された桐材(中国桐を含む)を注文を受けてから仕入れる職人が増えてきている中、桐材を熟知した私たちは本物の桐箪笥造りを貫き通す姿勢を変えるつもりはありません。地球温暖化が進む中、桐の成長が早まることで、木目の粗い桐材が増え、確実に良い桐材が少なくなります。
適材適所に大切な桐材を使うよう心がけております。
私たちのものづくりは製材から始まります。桐丸太をまず板にしなければいけません。
良質な材料にするため丸太を挽く時は非常に神経を使います。
挽き角度は木質や形で決めますが挽き角度を誤ると良質は木目がでません。
ベテラン職人の勘や経験で柾目を挽いたり、板目を挽いたりして木の特徴を生かした製材をします。
私たちは最近ほとんど見なくなった何年も板干しをする工程から桐たんす制作をしております。
手間、時間を一切惜しまず本物の桐の良さを最大限引き出し追求してきたからこそ見栄えだけの他のものとは違う奥深いものがあります。
何十年使っても「良い桐たんすだね」と言われるには天然桐材の大敵である「渋抜き」、「乾燥」は非常に大切なことと思います。
いくら職人の腕が良くても、有資格者でも桐たんすを購入後数年で変色や乾燥不十分で不具合が生じたりしては何もなりません。
私たちは製材した桐板材を桐板干し場で桟状乾棚に噛まし1枚1枚丁寧に干します。
そして、1年〜2年位、二梅雨も雨風にさらし、渋抜きを促進させ自然乾燥させます。
また、乾燥期間中は桐板材の天地(上下)左右を差し替え、満遍なく日光、雨、風が当たるようにします。さらにその後屋内にて数年、桐材を落ち着かせます。
渋抜き乾燥は桐材の伸縮及び狂いを少なくし、製品化した桐の渋による変色を防ぎます。
こうして桐箪笥を造り始める前に私たちは桐材を最高の状態にしています。