愛知県あま市 唯一の総桐たんす製造元

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桐たんす造り方

高品質の秘密はここにあり!

【一生ものの桐箪笥】匠の技と歳月が育む製作工程

桐の木が、次の世代へと受け継がれる「一生ものの桐箪笥」になるまでには、非常に長い年月と職人の手間暇を要します。それは、桐材の持つ「呼吸する」特性を最大限に引き出し、狂いや変形を防ぐために欠かせない工程です。特に重要なのが、この長期にわたる「天然乾燥」の工程です。

伐採された桐の原木は、まず私たちの乾燥場へ運ばれ、丸太の状態で約6ヶ月から1年かけてじっくりと寝かせます。これは伐採直後の木が持つストレスを解放し、「落ち着かせる」ためと、桐材が名古屋の環境(湿度・温度)に徐々に順応し、後の工程での「狂い」を最小限に抑えるためです。この最初のステップこそが、長く使える高品質な桐箪笥の土台となります。

そして丸太から製材された桐板材は、風通しの良い屋外で、太陽と雨風にさらしながら約2年間もの歳月をかけて「天日乾燥」させます。

桐材が真っ黒に変色するほど、内部の「アク(渋)」が完全に抜けるのを確認し屋内にしまい半年から一年寝かせます。そして「狂い直し」といい桐板にわずかに生じた「反りや歪み」を、火であぶりながら手作業で丁寧に、完璧にまっすぐに矯正します。これは、長年の経験を持つ桐箪笥職人にしかできない、高度な技術です。このように長い年月と手間暇を経て整えた上質な桐材だけが、ようやく次の工程へと進みます。

詳しく三長家具のものづくり

 

製材した桐板材を、桐板干し場にて、桟状乾棚に1枚1枚丁寧に噛ませて干している状況です。

天然乾燥中の桐材

 

 

ここまでの工程は特別なことではないかもしれませんが、 桐を理解して手を抜かず取り組む姿勢こそが最終的に確かな品質を生み出します。

 

桐たんす製造工程

私たちの桐たんす造りはすべて手作業、手加工で行い50年以上にわたって培ってきた経験を活かし独自の技術、技法で長年愛用してきた道具と共に何十工程にも及ぶ匠の技で造られてきました。伝統工芸の枠を超え、より良い製品を目指し進化し続けています。一棹一棹丁寧に想いを込めて造り、末永く愛されお使いいただきたいという私たちの想いが託されています。

 

木取り

初工程の木取りは各部材の寸法に合わせ切断する訳ですが桐材は生息する場所や土質、気候、などさまざまな状況化で色調が違います。仕上がりの良さを追求するため桐材の木目、色合い、癖を一枚一枚吟味し、木目を揃え板合わせをします。色調も合いまるで一枚板のように見え、この工程で桐たんすの出来栄えが決まります。

 

木取り

接ぎ合わせ

柾目寄せ

本体組み立て

桐たんすは永く使用できるように接合部に組み手を施します。主に楔形形状のあり組を採用しますが、難しい細工には高度な技術を要します。組み立てる時も桐無垢材の自然の変化を見越して特殊な技法を用いた妙技を屈指して、桐材同士の接合部の耐久性と強度を劇的に向上させます。この堅牢な本体こそが長持ちする証です。

 

本体あり組み

留め作業

本体組み立て

本体仕上げ

組終えた本体に裏板を取り付けます。他社とは違い少し大きめの板を嵌め込んで木くぎを打ち付けます。これは裏板の割れ防止になり、いかなる環境にも対応できます。そして天板・地板の角を品良くカンナで丸めていき、前面はノミやカンナを器用に使い形取っていきます。

 

木くぎ打ち

天丸仕上げ

面仕上げ

生地の完成

引き出しや盆の各板を蟻組みに加工し、組接ぎを行ないます。そして底板を木くぎで打ち付けます。出来上がった引き出しはたんす本体の棚と棚の間に入らないため、引き出しの左右側面、上端、底板を本体に沿って隙間なくカンナで順に削り、調整しながら擦り込んでいきます。そして前面の仕上げ削りをして扉、引戸などを仕込み最終調整後生地が完成します。

 

引出しあり組み

丸盆仕上げ

引出し仕込み

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色付け

木地の表面に水を塗り、へこんだ箇所を復元した後、仕上鉋等を用いて木地全体の調整をします。その後、うづくりで着色する面を木目にそって平均にこすり目立てをし、天然矢車附子を煎じた液に天然との粉を混ぜ刷毛で塗り、自然乾燥させます。この作業を2度繰り返し、最後に木目にそって均一にロー引きをし、最後に撥水加工をします。

 

うづくり

色付け

ロー引き

金具付け・調整

最終仕上げは金具付け。引き手や前飾りのデザインを選び、各寸法に穴を開け錠前、丁番を箪笥に慎重に取り付けいきます。最後に全体の調整を行い点検をし完成になります。

 

金具付け

最終調整

完成

 

 

こうして桐の選定から仕上げに至るまですべて自社で行ない、高品質を保つにはどの工程も手を緩める訳にはいきません。気の遠くなるような地道な作業の繰り返しですが本物を極める姿勢は今も昔も変わらずただ一心で制作しています。

 

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